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zoom RSS [雑記] 横浜国際女子マラソン終了に触れて、メディア企業の未来を思う

<<   作成日時 : 2014/11/16 16:09   >>

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名古屋駐在生活も3週目となりました。
今週は、仕事の緊急対応当番となったことから自宅待機なので、家を一歩も出ること無く、ネットサーフィンや読書に勤しんでいます。

さて、そんな中、ふとテレビをつけると、マラソンの中継が。
横浜国際女子マラソンだそうで、今大会で終了するということから最後の女王は誰に、とテロップがはられていました。

マラソンとかそんなに好きなわけでなく、詳しいわけでも無いのでWikiPediaで調べてみると、1979年から続いていた東京国際女子マラソンが、東京マラソン開催を機に中止されることになったことから、横浜国際女子駅伝と統合する形で、2009年から開催されている大会だそうで、実質的には35年の歴史あるマラソン大会のようです。

メディアの歴史を少し学んだことがある方ならば、プロ野球や高校野球など、こうしたスポーツイベントのほとんどが、メディアイベントとして、メディア企業、日本では主に新聞社が主体となって開催されてきたものであることは御存じだと思井ます。
そして、この手のスポーツイベントの多くが、スポンサーを集められなくなったと言われて久しく、私が在籍していた古巣の新聞社でも、九州一周駅伝という、10日間かけて1000キロ以上を駅伝形式で走り継ぐ、1952年から続く伝統あるイベントを主催していました。
しかし、やはり時勢には勝てなかったようで、2012年には、距離を大幅に短縮する形で、グランツール九州という名称にリニューアルを図るなどしていましたが、2013年大会を最後にイベント開催そのものがなくなりました。

プロ野球のように、直接的な入場収入を得られるイベントと異なり、駅伝やマラソンは、沿道で応援する観客からはお金を取ることはできません。
そのため、10日間もの長丁場を、関係者の宿泊施設や移動の手配、警備などなど、様々な支出はスポンサー費用だけで賄う必要があり、この十数年の国内不況の中、最後の数年は開催するたびに何千万円かの自社持ちだしがあったと聞いています。

想像するに、駅伝やマラソンは元々営業的に黒字になるようなイベント形態ではないため景気がいい時でも多少の持ち出しがあったのではないかと思いますが、そこは地元密着をうたう新聞社としては、企業イメージやPRも含めて、その持ち出し負担があっても続けて行く意義があるとして60回に渡りこれだけの規模のイベントが続いてきたのでしょうが、いよいよそこを負担しきれなくなってきた、ということなのでしょう。

横浜国際女子マラソンもおそらく同様で、それだけ、新聞社、TV局(横浜国際女子マラソンは朝日新聞とテレビ朝日の主催、読売新聞が特別後援)の営業体力がなくなってきたのだろうな…などと考えながら見ていると、SNSをでこんなブログの情報が流れてきました。

「プラティッシャー」の頓挫:バーベルの中間≠ヘデッドゾーン(追記あり)ー新聞紙学的

私自身はプラティッシャーという言葉は初めて聞いたのですが、書いてあることはすごく理解できます。
で、プラットフォーマーとパブリッシャーを兼ねるのはすごく難しい、という前提の上で、問題のセイメディアがパブリッシャーを断念してプラットフォーマーを選んだように、営業的には、パブリッシャーよりプラットフォーマーのほうがはるかに利益を上げやすいものと言えます。
様々な工夫が必要で、そんなに単純な話では無いですが、プラットフォーマーは他の人のコンテンツを載せることで利益を上げる形態であり、ものすごく悪意のある言い方をすれば、「他人のふんどしで相撲を取る」方式ですから。

この1年ほど、ニュース系のアプリがもてはやされていますが、どのアプリ企業も、自社でコンテンツを作るという取り組みをしているところはほとんど無く、ニュースコンテンツって未だに新聞社やTV局、出版社(雑誌社)からの発信がほとんどです。
もちろん、SNSをなどを使って個人で発信するジャーナリストも居ますし、個人の人が発信する情報がニュースではない、ということではありませんが、特定の地域や種類の問題について、定点的にフォーカスして継続的に情報発信するためにはやはり組織としての報道機関が必要だと思いますし、そうしたニュース企業の試みって、いくつか無いわけではないですが、成功モデルと言えるようなところは出てきていないと思います。

アメリカの方では数年前から地方新聞社の倒産が相次ぎ、新聞が全く発行されなくなった地域もある、なんて話も耳にしています(その後どうなったのかまではフォローできていないので把握していませんが)し、日本の地方紙も、緩やかとはいえ右肩下がりを続けている現状のままでは、数年内に、某かの新しいカタチを見出さなければ、同じような状況が待っている、と思うんですが、なかなかそういう取り組みは耳にしません…。

このままでは、コンテンツメーカーは個人の資質や才能に依拠する形になり、組織としてのプラットフォーマーはあくまで「場」を提供するだけ、ということになってしまうのではないかと懸念しています。

AmazonのKindleDirectPublishingや、ニコニコ動画、YouTubeなど、エンターテイメント系ではすでにこのような形へ移行していると言っても過言では無いでしょうし、動くお金は小さくなっていくとはいえ、そこで需給関係が生まれて新たな経済圏が回り始めるのであれば、それはそれでいいと思います。

しかし、これがニュースとなると事情が違います。
Amazonのジェフ・ベゾスがワシントン・ポストを買収した際、企業体としてのAmazonではなく、個人のポケットマネーで購入したのがいい例で、つまりは、Amazonのような巨大企業の営業力を持ってしても、ニュースというコンテンツを売って利益を出すのは容易ではないと判断した、ということでしょう。

ワシントンのような大都市を拠点にする新聞社ですらこの状況です。特に、地方の話となると、対象となる読者も狭まってしまうことからお金にもなりにくい。
結果、コンテンツを提供する個人も居なければ、そもそもプラットフォーマーがおらずニュースを載せる場が無い、という状況が生まれます。
日本はほとんどの都道府県が1県1紙体制で、例えばその地方紙が倒産してしまったあと、小さな村のニュースなどは全国紙ではほとんど扱ってもらえません。そうした状況になった時、村内の住民たちはどこから自分の生活に関わる情報を得ればいいのでしょうか。

中にはその地域の個人の人が立ち上がって、現在の報道機関と同じような役割を担い、自腹を切ってでも周辺住民に情報発信をする地域もあるでしょうが、そういうケースはごくわずかでしょう。
人口の疎密を勧め、消滅する小さな自治体はどんどん消滅させて統廃合していくのだ、というのであれば、そうして1つの地域に集めた都市部を作って、都市部の中だけで運用するというのもいいでしょうけど、そう簡単には行かないでしょう。
個人的には、やはりそこを担うのは、腐っても約100年にわたって、地域に軸足をおいてその地方の情報流通を担ってきた地方新聞社だと思っています。

時代にそぐわない古い習慣、思考が残っていて、昨今様々な批判を受けるシーンも増えていますし、実際、ひどい地方紙もありますので、全てがすべて残る必要はないと思っていますが、新聞社の持っている、取材し、報道するノウハウというのはこのまま消えていくのをただ傍観するにはあまりに惜しい資源・技術だと思っています。

約20年に渡り、日本の国内新聞発行部数は右肩下がりを続けています。
(参考:新聞の発行部数と世帯数の推移 ※記載は2000年からですが、以前調べた時の記憶では、確かピークは1995年ごろで、それ以降はずっと下がり続けていたはず)
紙を配り続けるというビジネスモデルがコストと合わなくなってしまっている以上、そこを大幅に転換した何か新しいモデルを試行する必要があるのだろうと思うのですが、様々なしがらみが多すぎて、新しいカタチを模索することすらできないのが地方新聞社の実情かな、と、業界を離れた立場から忸怩たる思いで見ています。

もちろん、新しい挑戦的な取り組みをしている社もいくつかありますので、そういう会社には、今後共頑張って、ぜひ、30年後も生き残れる新しいビジネスモデルを確立していってほしいな、と思う次第です。


ひとつのメディアイベント終焉に触れて、そんなことを思い、綴る週末のひとときでした。

もうしばらく名古屋駐在が続きますので、次回のブログ更新では、今読んでいる本、高広伯彦さんの「次世代コミュニケーションプランニング」の書評でも書きたいな、と思っています。


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ではでは〜〜。

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