[書評] 融けるデザイン ハード×ソフト×ネット時代の新たな設計論



前回の記事から1か月ほどたち、4月に入りました。

この間、ご存知の通り新型コロナウィルスの状況はますます悪くなっていて、志村けんさんの死去といった悲しい出来事も起きてしまいました。
私の印象としては、政権の印象はますます悪化していると思いますが、相変わらず与党内からは安倍下ろしの動きはなさそうに見えます。
まぁ、今この緊急事態の状況で降ろそうとするのはさすがに…という流れもわからなくはないですが、今のままだと次の選挙では自民党は大敗以外にないんじゃないか、という気がしますが果たしてどうなんでしょう…。

私の方は幸いにして、2年ほど前からフルリモートで仕事をしている関係上、日常生活にはそれほど大きな変化はありません。
ただ、日課にしていた散歩ができなくなっていることから、SwitchのFit Boxingを購入して日常の運動としているのですが、おかげでむしろ以前よりも健康的な暮らしを過ごしています。
本来はRing Fit Adventureを購入したかったのですが世界的な品薄で購入できず、ということで、代替で購入したのですが、これはこれでなかなか楽しいのですが、運動のレベルが結構きつめのものしかないので、時折体を痛めることもありなかなか大変です…

Fit Boxing (フィットボクシング) -Switch
Fit Boxing (フィットボクシング) -Switch

リングフィット アドベンチャー -Switch
リングフィット アドベンチャー -Switch


さて、そんな日常なので、時間が余るような状況になってきたことから、積読になっていた本をいくつかこの機会に読んでしまおう!ということで、読み始めたのが本日ご紹介する「融けるデザイン ハード×ソフト×ネット時代の新たな設計論」です。

融けるデザイン ―ハード×ソフト×ネット時代の新たな設計論 - 渡邊恵太
融けるデザイン ―ハード×ソフト×ネット時代の新たな設計論 - 渡邊恵太

もともとなんで興味を持って購入したのかもはっきり覚えていないのですが、Kindleの電子書籍が購入済みだったのでこの機会に読みました。

まず、デザインとは言っていますが、Webサイトやアプリといった、いわゆるコンピューターデザインの技術論的な話ではないです。
もう2段、3段ほど話を広げて、人間にとって優れたデザインとはどのようなものをいうのか、これからのデザインはどうあるべきなのか、ということを考察している本です。

コンピューターというのはこれまでの特定の目的を持った道具(例えば、「包丁」は「食材を切る」ための道具、といった具合)と違って、何でもできる「メタメディア」であるからこそ、画面の中でどのようなデザインで機能を提供するのかが大切になります。
例えば、コンピューターを使って文章を書く人と作曲をする人、ゲームをする人では、利用されるデザインは当然異なるものになります。
そして優れたデザインとは、人がそこに「デザインされている」ことを意識しなくなる、透明になってこそ優れたデザインといえるというものです。

パソコンのWindowsで、かつて「最小化」のボタンを押したときと「閉じる」のボタンを押したとき、画面上の見た目はどちらも同じく「一瞬で消える」処理が行われていました。
一方で、Macの場合はかなり初期の段階で、「閉じる」ボタンは「一瞬で消える」けれども「最小化」ボタンでは「画面の下に向かって小さくなる」アニメーションが採用されていました。
小さな意味で「デザイン」といった時、こうした「アニメーション効果」に注目されがちで、Apple社の「優れたデザイン」を模倣しようとしたとき、そうしたアニメーション効果ばかりを模倣されがちだが、それではこのデザインを矮小にとらえすぎている、というのが著者の主張です。
Macのデザインが優れているポイントは、きれいなアニメーションを見せたところではなく、画面のウィンドウが小さくなる過程をユーザーに見せることによって、「画面が消えてなくなったのではなく、小さくなっただけでまだそこに在る」ことを無意識のうちに認識させたことにある、ということです。

このように、操作者が自身が操作したことにより起きる動きを、ユーザーの意図にかかわらずコントロールすることで、ユーザーの体験をよりスムーズに、より適切に導くことができるデザインこそが優れたデザインの条件としています。

ほかにも、iOSの電子書籍リーダーiBooksにおけるページめくりのなど、コンピューター技術が進んできた今だからこそできる様々な表現方法による様々な実例を挙げながら、デザインとは人々と環境をつなぐインターフェースそのものを設計することで、優れたデザインであればあるほど、人に意識されず透明になっていくという話が展開されています。

中でも面白かったのが著者自身のWebサイト http://www.persistent.org (ちょうど2020/3/14でサイトを移転したらしくこちらのサイトは更新を終了しており、新サイトはこちらとのこと https://keitawatanabe.jp )で公開されている様々な製作物。
例えば、
カーソルの動きの表現だけで手触りを表現した VisualHaptics http://www.persistent.org/visualhaptics.html (かなり古い作品で、Adobe Flashが必要)
多数のダミーカーソルが動き回る中で、自分が操作するカーソルを見つける CursorCamouflage http://www.persistent.org/cursorcamouflage.html
仮想筆先による書き味の表現を追求した 味ペン http://www.persistent.org/ajipen.html
レシピサイトに掲載されているレシピと自動同期する計量スプーン Smoon https://scrapbox.io/keitawatanabe/smoon
などなど。

実際にこうした様々なものを自身で製作しているからこそ、著者の、デザインが「優れている」とされる源泉が「自己帰属感」(ユーザーが、自分が対象をコントロールしていると意識できる感覚)にあるという主張もしっかりと受け入れられます。

さらに、優れたデザインを生み出すためには、ただデザイナーとしてきれいに整った形を描くことができるだけでは足りず、ユーザーがその道具を利用する生活シーンを具体的にイメージし、その時のユーザー心理の動きまで描きながらデザインする必要があり、仕組みを考えるプログラマーはもちろん、心理学者など、様々な人が協力しなければ、生み出すことはできないとしています。

モノづくりを仕事とする中で、こうした主張は非常に腑に落ちるものだし、そうしたレベルでのモノづくりをしたい、という希望はあるものの、予算や人的リソースの兼ね合いでなかなかそこまで追求することはできないなぁ…という諦観も感じますが、これから先、何か大きなものでも作る機会があれば、外部の人と協力してでも、しっかりとしたものを一つでも作ってみたいものです。


ということで、これから先にモノづくりを仕事にする人であれば、様々な気づきが得られる必読の書かと思います。
2016年と少し前の本ではありますが、時流に左右される小手先のデザイン論ではないので、未読の方はぜひお手に取られてみてください。
Kindle版だと、紙版より若干お安いようですのでこちらからどうぞ。

ではでは~~~~。

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