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zoom RSS [書評] 21世紀の資本

<<   作成日時 : 2018/12/29 00:11   >>

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今年もいよいよ年末。
私も昨日で仕事納めということで今日からしばらくゆったり過ごしています。
熊本のほうは昨日までそこそこ暖かい気候だったのが今日から突然冬本番、といった感じで気温の変動が激しく体調管理が大変ですが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。

さて、前回は3Dプリンターのレビューをお届けして、最後に予告していたのですが、今回は予定を大きく変更しまして、書評を一本。
先月上旬にFBで購読中としてた、トマ・ピケティの「21世紀の資本」が読み終わりましたのでこちらのご紹介をしてみたいと思います。


21世紀の資本
みすず書房
トマ・ピケティ

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もともとは2013年にフランスで発表された書籍で日本では2014年に発売。
発売当初に話題の経済書ということでかなりメディアで取り上げられたりしましたし、今でもかなりの数の関連書籍が出版されていますのでご存知の方も多いかと。

私も当時から気になってはいたものの、経済は専門ではないということもあり、なかなかこのボリュームに挑戦しようという気になれず、いざ挑戦しようと思って図書館で借りようとしたら、当時よく通っていた愛知県豊田市の図書館で14人待ちといわれて、諦めたという状況でした。
そんな中、熊本に引っ越してきて図書館で探してみたらあっさりと書架にあり、しかも紐も解かれておらずおそらく誰も読んでいないのだろうな、という状態。
これは私が挑戦しなくては!ということで、不慣れな経済用語に四苦八苦しながら2か月かけて読了しました。

感想を一言でいうと、「すごい本だな」ということ。

本書の内容は、これまの経済学者がだれも行っていなかった(技術的な問題などもあって、できなかったらしい)、超長期的な経済統計の取りまとめと、その結果に基づいた理論の構築。
著者は近代国家の始まりであるフランス・イギリスで発表された古い国家統計(200年前!)から、現代のEUのみならずアメリカ・日本・中国と、あらゆる公式統計記録を取りまとめ、その中から公的資本、民間資本、所得、経済成長率と、あらゆる経済分析を行っています。

そのうえで、まだ貴族社会が残っていた18世紀後半から19世紀、20世紀を経て21世紀の現代において、貧困層、中間層、富裕層がそれぞれどのように構成されており、その格差が経済とどのように連携しているのかという推論を立てています。

とてもそのすべてを紹介できる内容と分量(そして何より私の理解が追い付かないところが多々あり)ではないので、個人的に気にポイントとも割れた内容をいくつかピックアップしてみると


  • 18世紀の貴族社会における貧困層と富裕層の格差と、現代アメリカの貧困層と経営者や様々なセレブ達といったスーパーリッチの格差を比較すると、すでに後者のほうが大きいといえる状態になっている。
  • よく言われる4〜5%の経済成長率というのは実は「先進諸国に追い付こうとする途上国だけが一時的に出せる数字」で、通常の成長は年率にして1〜1.5%あれば十分長期的な成長といえる。
  • 資本が生み出す所得の成長率と労働による所得の成長率は、資本が生み出す所得成長率のほうが高い。つまり、一度築かれた資本は長期的に資本を生み出し始め、富めるものがより富める構造を作り出す。つまり格差を生み出す。
  • 現代の超高額所得の経営者たちは、よく言われるように能力だけでその所得を得ているとは言えない。企業業績はむしろ経済的な流動性に左右されて上昇・下降するため、たまたま上昇するタイミングでその企業を率いていたという運によって高額の所得を得ることが多い。
  • 世界各国の貿易収支を見ると、全世界を統合しても収支が合わず、なぜか全体が赤字。理由として考えられるのは、スーパーリッチ層が所得の一部をタックスヘイブンなどに隠してしまうから。
  • 2度の世界大戦が、格差の是正に一役買っている状況があった。
  • 現在の格差の固定化がそのまま進むと、社会構造としては18世紀以前に逆戻りしてしまう。これを防ぐためには累進的な資本税(各人が所有するすべての資本に累進的な課税)を行うしかない。
  • ただし、この対策は一国だけで導入しても意味がない。最低限、ヨーロッパやアジアといった地域的な導入が必要。


私としては、以前から優秀な経営者は青天井でいくらでも報酬をもらって当然、という論調には疑問を感じてましたし、経営がうまくいく、いかないというのは決して能力だけでなく、運の良さというのもかなりあるとは思っていたので、結構すんなりと受け入れられる論調でした。
また格差の拡大は以前からよく言われている話なので、広がっているんだろう、という認識ではありましたが、貴族時代よりも格差が広がっているというのには驚きでしたし、世界中の国の貿易収支が赤字になっているという話は初めて聞いたものでした。

格差是正のためには漠然と、所得の規制(例えば、1つのグループ企業の中で、最低賃金の人と最高賃金の人の差は1/100までに抑えなければならないといった具合に)が必要なんじゃないかな、というイメージは持っていましたが、保有している資本すべてに対して課税をするという施策のアイデアは全く思いついていないものでしたが、かなり効果的なのではないかと思わせられました。

この本が出た数年後の現在、フランス、アメリカで起きている格差・分断による社会情勢の混乱を見るに、この本に書いてあることに一定の真理がみられるといっていいのだろうと思うし、このまま格差の固定化が進んだ先にあるのは、貧困層による革命か、または第三次世界大戦だけなんじゃないだろうかという気すらしてきます。

資本主義経済の民主主義社会国家で生活している以上、経済がどのように回っているのかというのは全員が自らのこととして考えるべき事柄だと思っています。
自分だけでなく、子どもたちといったその将来を定めるために、政治・経済がどのようにあるべきかを考える一つの契機として、だれもが一度は目を通していい必読書といえるのではないかと思います。


さて、というところで、今回はこの辺で。
2018年最後のブログがちょっと固めの内容になりましたが、まぁそれも私らしいかなというところで。
来年1発目は前回告知していた、サイバーマンデーで購入したほかの製品のレビューでも書こうかなと。
ではでは〜〜〜。

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