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zoom RSS [書評] 「二〇世紀から」と「MAKERS」

<<   作成日時 : 2018/09/24 19:41   >>

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9月も半ばを過ぎて、酷暑とまで言われた今年の夏の暑さもだいぶ和らいできました。
世間的にはいわゆるシルバーウィークの連休ですが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。
私はこの3連休はいくつか仕事に絡んだ予定があるため、その後で少しお休みを頂く予定にしていますので、今日はまだ余り休み気分にはなっていない、といったところです。
(頭の言葉が少しずれた感じになっているのは、書いている途中で保存して2日ほど経過してしまったからですが、書き直すのも面倒なのでこのまま公開することにしました…)

さて、前回の投稿から丸一ヶ月以上が経過してしまいました。
そして前回も書評の投稿だったのですが、今回も続けて書評の投稿。
といっても、開発の仕事に直結していた前回と違って、今回はどちらかというと社会的なところのお話の本です。

1冊目は、いつも行っている豊田市の図書館で処分書籍になっていたのをもらってきた「二〇世紀から」。

二〇世紀から
潮出版社
加藤 周一

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こちら、1999年に雑誌に掲載された対談を収録した本と言うことで、対談者は加藤周一さんと鶴見俊輔さん。
お二方とも言わずと知れた20世紀の日本言論界を代表する知識人ですが、この二人が政治・経済を始め、戦争、民族、芸術、宗教、学問…と、あらゆる角度から20世紀を振り返り論じているモノです。

お二人の名前だけで手にとってもらってきた本でしたが、21世紀になって約20年が経過した今だからこそ、一度立ち止まって20世紀という歴史を振り返るのにちょうど良い本だと感じました。
お二人の話の中でどんどん飛び出してくる人物名の豊富さ・事象に対する理解の深さに圧倒されつつ、そういえばそんなこともあったな、あの出来事はこんな見方があったのかと、改めて社会への理解を補強してくれる本だと思います。

さて、そんな中でもいくつか個人的なポイントになった箇所をご紹介。
対談の最終章である14章目が「ジャーナリストは何を表現したか」と言うことで、ジャーナリズム、マスメディアについて論じているのですが、新聞、テレビが力を失っていく中で、新しいメディアとして登場したインターネットについて最後に一言、「今世紀最後に登場したインターネットというのは、巨大メディアでもあり、ミニコミでもあるわけですが、二十世紀前半は大新聞の時代、後半は大新聞の時代で、二十一世紀は、少なくとも最初の五〇年間はインターネットが主要なコミュニケーションの手段になるでしょう。」(P.302)ということをずばり言い切った台詞で対談が締められていました。
加藤さんが1919年生まれ、鶴見さんが1922年生まれと言うことで、対談が行われた1999年時点で既に80歳と77歳ほどのお年のはず。
にもかかわらず、現在ほどにはまだ社会に影響を与え始める前のインターネットを見て、その本質を「五〇年間はインターネットが主要なコミュニケーションの手段になる」と喝破するその眼力はさすがと言わざるを得ません。
それから20年間が経過してなお、未だに「よく分からない」とか「ネットなんてまだまだ…」なんて言う方もいたりしますが、事実上「使う人」と「使わない人」の分断はどんどん大きくなっていて、「使わない人」にはその変化が見えていないだけ、となりがちなところを、(おそらく、お二方とも当時自分で積極的に使われていたというわけでは無いのだろうと思うのですが)それでもきちんと「見えている」のを知るに、やはり多方面に知識を蓄積し、できる限り様々な角度からモノごとをみることで、本質を見抜ける力というのは培われていくのだな、と実感した締めになっていました。


そしてもう一つポイントに感じたのが、消費社会・大衆文化について論じたところ。
この中で、単一の製品を大量生産し、全員が同じモノを使うようになるということで大量生産と大衆文化は不可分であるとしながら、「しかし、景気が回復せず、みんながほころびを修理した服を着るようになれば、一人ひとりが違う服を着ることになる。そうなれば新しい大衆文化の出現ですよ(笑)。昔は鋳掛け屋さんとか、ああいう人がたくさんいたでしょう。そういう人たちがいなくなると大衆は個性を失おうんです。大衆文化における個性の復権が必要です。」(P.178)と話しています。

これがちょうど、この直前に読んでいた、今回ご紹介する2冊目、クリス・アンダーソンの「MAKERS」と繋がりました。


MAKERS 21世紀の産業革命が始まる
NHK出版
クリス・アンダーソン

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MAKERSは、インターネットが普及して世界中がネットでほとんどリアルタイムで通信しコミュニケーションを取ることが出来るようになり、また3Dプリンタを始めとする製造業の技術革新により、「製品」を作る工程で単一製品の大量生産ではなく、少量多品種の生産が可能となったことで、それまで何らかのアイデアを持っていても、そのアイデアを工場などを持つ大企業に販売することしか出来なかった発明家たちが、「自ら製品を作り、直接消費者に届けることが出来るようになった」事で起きている社会的な変化について記した本です。

この中で著者は、19世紀には家庭内手工業として、衣類や食器といった日用品は(一部の芸術品などを除けば)基本的には各家庭で自ら手作りしていたものが、20世紀に入り大量生産される形になり、どんどん家庭から外に出されて、基本的には「買ってくる」ものになった。
この流れが技術革新によって3Dプリンターが家庭で購入出来るくらいの金額になり、またCADソフトウェアが誰でも使えるような環境になりインターネットで世界中の工場に対して誰でも容易に発注できるようになったことで、以前のように各自が自分が必要とするモノを自分で作れるという19世紀的な物作りへの回帰が21世紀の特長なんだな、というのを実感した次第でした。

少し前にこのMAKERSが話題になった頃には一家に1台3Dプリンターが、みたいな言われ方をしていたのが、最近は余り聞かなくなり、思っていたほどではなかったのかな、と久しぶりに調べてみたら、実は3Dプリンターは3万円台(組み立て式なら2万円を切る価格帯の製品もごろごろ)くらいから購入出来る機種が普通に出ており、それこそ2Dプリンターと変わらない価格に近くなっていました。







問題は、誰もがCAD系のソフトウェアを使いこなすことが出来るか、というところですが、最近ではスマホアプリでAR関連の技術がどんどん取り入れられていることから、スマホだけあれば3D画像への加工が簡単にできるようにもなってきてます。

無料3Dスキャナアプリ『Qlone』使用レビュー。AR技術で実現した高精度に驚き

もう後5年もすると、こういうアプリを使いこなして、絵を描くのと同じくらいの気軽さで様々なモノを3Dプリントする人たちがどんどん増えてくるでしょう。
全員がやると言うよりは、「好きな人が簡単にできる」の世界だとは思いますが、洋服を買う人の中で裁縫して自分で服を作る人が居るように、工業的な製品でも自分で好きなように作って身の回りで使うという人が増えてくるんだろうなというきがしました。


ということで、19世紀から20世紀、そして21世紀へと続く産業の変遷を感じた書籍2冊でした。



それから、話題が変わりますが1点ご報告を。
現在愛知県で勤務しておりますが、実は10月中旬に熊本へ戻ることになりました。
約2年半の愛知県生活でしたが、ハッカソンなどのイベントに参加させて頂いたり、福井や石川など愛知県からだからこそ気軽に足を伸ばせるスポットにも活かせていただき、充実した日々を過ごさせて頂きました。
交通マナーの悪さには辟易して、いつ事故に巻き込まれるかとびくびく生活していた向きもありますが、それももうまもなくおしまいとなります。
熊本では、リモートワーカーとして在宅で勤務をする予定ですので、今まで以上にパソコンノ前に居ることが多くなる予定です。
ネットを通じて交流のある方も、熊本にお住まいで実際に交流を持つことが出来る方々も、これからもよろしくお願い致します。


ではでは〜。

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