[How To] 自炊のススメ(1):裁断編(コミックス)

さて、久しぶりのブログ更新です。

このブログで何度か電子書籍を話題にしてきましたが、今回は2カ月ほど前のエントリーでも触れた、自炊の具体的なやり方について、数回に分けて詳しく説明したいと思います。

私の場合、スキャンをする際に使っているのはキャノンのDR-C125というドキュメントスキャナです。
紙をスキャン台の上においてスキャンする、いわゆるフラットベッドタイプのスキャナでも自炊は出来ないわけではありませんが、1ページスキャンするごとにページをめくる必要があり、また、フラットベッドタイプでは、やはり本の見開きの内側の部分をうまくスキャンするのは難しいです。

そのため、自炊をするのであれば一般的には、上記のようなドキュメントスキャナを用意し、本の背表紙にあたる部分を裁断。本をバラバラのページにしてスキャナーにセットして、読み込ませながら一気に両面スキャン、というやり方が一般的です。

ということで、今回は、実際に自炊をする時の手順に従って、スキャンに入る前、本を裁断する手順を見ていきたいと思います。

私の場合は、スキャンをする対象はほとんど漫画です。
漫画以外もやらないわけではありませんが、自炊の場合、成果物として出来上がる電子データは、基本的に、JPGの画像か、PDFファイルになるのが一般的です。
文字主体の書籍をスキャンする場合には、ORC機能を使って、文字部分は文字データとして残るように調整してはいますが、PDFファイルではレイアウトを崩さずに文字を拡大縮小するリフロー機能を使う事が出来ません。
そのため、どうしても紙の版型より小さいタブレットやスマホの画面で見ることになると、文字が小さくつぶれて読みにくくなることから、漫画以外の本はあまり電子化していません。文字主体の本でPDF化するのは、技術書など、「検索」機能を使って有効活用できそうな本や、リフローする必要なくほとんど実寸のままタブレットで読むことが出来る文庫本サイズの小説などに限って作業をしています。
もし活字本を電子化しようと考えられているとしても、手順そのものはハードカバー以外の本はほとんど変わりませんので、同様のやり方で裁断することが出来ます。

ではまず、裁断をする際に使う道具を見てみましょう。
実は意外とシンプルで、裁断をする対象の本を用意するほかには、裁断機とカッター、この2つだけで事足ります。
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裁断機は、Amazonなどの通販サイトで見ていただくとわかるのですが、ピンからキリまで数多くの種類が見つかります。そして、値段もピンからキリまであります。
本来であれば、1冊の本を1回で裁断できるような大型裁断機、たとえば次のようなものがあれば、ベストです。


しかし、これ、見ていただければわかる通り、結構なお値段します。更に、重量やサイズもかなり大型のものになってしまうため、場所をとります。
正直、月10冊程度の裁断をするくらいなら、かなりのオーバースペックになってしまうわけです。

一方で、会社の事務などでたまに見かけるこちらのような、上から刃を下すタイプの裁断機。



この場合、大きな問題となるのが、本のようにかなりの枚数が重なっており、なおかつ片側がつながっている紙の束を裁断する場合、端から順に力がかかるため、かなりの確率で裁断面がずれてしまう、という事があります。
せっかく電子書籍にして読むのに、その状態では若干残念。

ということで、私が愛用しているのはこちらのタイプ。

ディスクカッターとかロータリーカッターなどといわれるタイプのもので、1度に裁断できる枚数は少ないですが、上から抑え込んで、円形の刃を滑らせることで裁断できるため、比較的きれいに裁断できると思います。
そして何より、値段が手ごろです。

もちろん、どんな道具をそろえるかは作業をされる方の考え方次第ですので、予算と要求する仕様(一度に切れる枚数や裁断する紙の版型など)を見比べながら、自分に合った裁断機をお探しください。

次に残す一つの道具のカッター。
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こちらはごくごく普通のカッターです。但し、細めの事務用カッターより、写真のように、少し刃に厚みがある、工作用のカッターを用意した方がいいと思います。
理由はまた後程。

さて、では、具体的な作業手順を見ていきましょう。

今回、漫画は私の大好きな作家さんで、うめさんの最新刊「大東京トイボックス」の9巻をサンプルに用意しました。

ゲーム業界で物を作る人たちの熱い思いや葛藤を描いた作品で、硬軟織り交ぜたストーリー展開はきっと誰でも楽しめると思いますのでぜひ!

閑話休題。
さっそく作業に入りましょう。

まずは漫画のカバーと帯を外します。もし、間にチラシなどが挟まっているようなら、それも外しておきましょう。
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私は個人的に、漫画のカバーと、カバー下の表紙は結構重要だと思っています。この大東京トイボックスもそうですが、カバー下の表紙に作者の遊び心が隠されている場合があるので、できるだけこれらを残した形で電子化しています。
一方で、帯については、個人的には電子化する際には外してしまっています。
帯そのものも仕掛けがあったりして面白い場合はありますが、帯をきちんとスキャンしようと思うとカバーとのずれを整えたりと、結構手間暇がかかる作業になってしまう、という事が一番大きなものです。
ですので、私の場合はこの段階で、帯とチラシを横にのけて、カバーと本体に対して作業をすることになります。
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まずはカバーなのですが、こちらについては、私は縦に長い紙として読み込み、PC上で表紙部分や裏表紙部分だけ切り抜いて使っています。
最初にカバーを切ってしまっても構わないのですが、PC上で画像を切り抜くだけの方が作業が簡単ですし、ばらばらの紙の束になった本を、スキャンするまでの間束ねて置く帯の役目として、カバーがとても都合がいいので、カバーは最後までこのまま残しています。

カバーをはずしたら、次に、先ほども説明したとおり、できるだけ表紙を残しておきたいので、本体と表紙を切り離します。

まず、表紙と本体の間のページを開き、カッターの刃を当てます。
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この刃を、表紙を切り抜かない程度の力加減で、表紙と本体部分を糊付けしている糊を切り外すように滑らせます。
次の写真のように、表紙の上から見て、刃先がわかる程度の力加減がベスト。
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刃先を滑らせた後、表紙を引っ張るような感じで糊をはがしながら目いっぱい開ききると、本体とくっついていた表紙がはがれて、背表紙の糊付けされた間がしっかり見られるような状態になります。
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これを両面実行した後、表面と裏面をそれぞれ目いっぱい開いて、外側(表紙と裏表紙)同士がくっつくような形にします。
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この状態のまま、本体側と表紙側の上部をそれぞれつまみ、間を裂くようにして力を入れると、糊付けされた背表紙部分がべりべりと音を立てながらはぐことが出来、綺麗に表紙をはがすことができます。
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これで、表紙が外れました。
残るは表紙が無くなって、紙が束ねられただけの状態の本体部分です。

大型の裁断機をお持ちの方は、この状態まで来たら、あとは本を一気にサクッ!といってしまえばいいのですが、先ほど説明しましたとおり、私が使っているタイプのディスクカッター式の物は、1度に20枚程度を裁断するのが限界です。
ですので、裁断できるページ数に合わせて、本を分冊してやる必要があります。

難しいことは無く、本のページにカッターの刃を差し込んでやり、まだ糊付けされている本の背表紙を切り開いていきましょう。
怪我をしないように、手前から奥に向かって刃先を進めればいいかと思います。
先ほどの、事務用の細身のカッターではなく工作用の大型カッターの方がいいと言うのは、本のつくりにもよるのですが、糊付けがしっかりされているものだと、この作業をする際に結構な力がかかります。細身のカッターでは刃が曲がってしまったり、折れたりする恐れがあるのではないかと思いますので、大きいカッターを用意しましょう。
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これを繰り返してやれば、20ページ程度の束の分冊が、単行本の厚みに合わせて出来上がります。
ここまできて、やっと裁断機の出番です。
まずは、写真左側のマグネットを使って、分冊したページの位置を決めます。
そして、カッターの刃がついたスライドバーを倒し、カットする位置を固定します。
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このとき、重要になるのが「どこで裁断するか」です。
背表紙側を切り落とすことになるため、あまり深くきりすぎると、漫画の場合、見開きのページの真ん中あたりの絵が切り離されることになってしまいます。
一方で、あまりにも浅く切りすぎるとどうなるのか。
私もこの作業を自分でやるようになって初めて気づいたのですが、実は本の糊付けって、どの程度しっかり糊がついているかと言うのは結構まちまちだったりします。
同じ装丁の本(つまり同シリーズの別の巻など)はほとんど同じことが多いですが、それでも微妙に異なっていて、2~3mmくらい申し訳程度に糊付けされてるものや、5mm以上もしっかり糊付けしてあるものまで、本当に1冊1冊すべて異なると言ってもいいくらい、違っています。
ですので、ページをできるだけ残したいと浅く切りすぎた場合、下の写真のように、裁断したはずなのにまだまだくっついたまま、という状態になってしまうことが良くあります。
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なので私は
・4コマ漫画や、あまり見開きを使わない作者の漫画(それと、見開きの真ん中は余白になる、小説などの活字本)の場合は、少し余裕を持って深めに裁断
・見開きが多用されているような漫画の場合は、できるだけ、ちょうど糊付けされているところを見極めて、ぎりぎりのラインを裁断
するようにしています。
しかし、後者の場合、糊付けされているラインと言うのが必ずしも直線でないため、切り離した後もところどころ糊が残っていることがあります。
その場合は、次の写真のように、ページの間に指を入れて切り開いてやればすぐに切り離すことができます。
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それから、ディスクカッタータイプの裁断機ですが、私は当初、カッターの刃がついたスライダーのハンドル部分を押さえて作業をしていました。
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しかし、これでは紙に厚みがある時や、ぎりぎりのラインを裁断仕様とすると、カッターの刃がずれてしまい、切り残しがでたり、切った切り口が曲がってしまったりと言う失敗をすることが良くありました。
いろいろと試行錯誤した結果、私が使っている裁断機では、ハンドルそのものより、下の写真のように、カッターの刃を取り付ける際のフタにあたる部分を押さえ、写真左に向かって力を加えるような形でしっかり押さえながらスライドすると、綺麗に切れるということを発見しました!
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この機種に限らず、それぞれお使いの道具にいろんな癖があるでしょうから、初めの内はあまり重要ではない本(手元に重要じゃない本なんてない!と言うのであれば、ぜひ、中古書店などで安い本を買ってきていただいて…)で何度か試していただいて、自分なりの綺麗な裁断方法を見極めてから、作業をしていただくといいのではないかと思います。

あとはこの作業を、先ほどカッターで切り離した分冊分繰り返して行けば、下の写真のように、綺麗にページが切り離された紙の束が出来上がります。
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こんな感じで、すべてのページがばらばらになれば、裁断の作業は終了です。

最大の注意点としては、当然のことながら、ページの順番と向きを間違えない、という事です。
これまで本だったものが、ただのページの束になった結果、いつの間にかページの向きがひっくり返ってしまっていたり、順番がバラバラになった、なんてことが起こりえます。
小説などならページ番号を読めばいいのですが、ページ番号の振られていないページが多い漫画などの場合、順番がバラバラになったしまうと、それはもう悲劇以外の何物でもありません。

順番を間違えないやり方は人それぞれだと思いますが、私のやり方をご紹介しておきます。
まずは分冊する際、ページの前の方から切り離し、先頭のページを下に伏せるような形で積み重ねていきます。
次に、最後まで分冊を終えたら、今度は手元に残る一番最後のページを含む分冊から裁断を行い、紙の束になった一番最後のページが下になるような状態で、別の山にして重ねていきます。
これで、最初に分冊した先頭ページを一番上に重ねれば、きれいな順番に並んだ

最初の内は結構時間もかかると思いますが、私の場合、それなりに慣れてきた今で、カッターで分冊する作業まで含めて、大体1冊あたり10分ちょっとというところでしょうか。
大型の裁断機があれば、分冊も裁断もすぐに終わるはずですから、1分程度で終わるようです。
この部分の、手間隙の分をお金をかけて買うかどうか、とういところになりますので、結局のところ、自分が何冊くらい電子化するつもりがあって、それが本当にそれだけの追加費用をかけてでもやりたいことか、と言うところを見極めて道具をそろえればいいのではないかと思います。

ということで、とりあえず、本を裁断する作業はここまでです。
実際にスキャナを使ってスキャンする作業については、また後日、解説をアップします。

ではでは。

============================最近の気になる情報
山寺宏一、生吹き替えで一人全役…「チャップリンの消防士」
http://www.yomiuri.co.jp/entertainment/stage/theater/20130118-OYT8T00845.htm

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http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1301/17/news025.html

(追記あり)日本の未熟なクラウドファンディングは、そのプラットフォームの事業者こそが大人になってほしい。
http://mediologic.com/weblog/?p=2505



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    Excerpt: さて、自炊のススメということで書いてきた一連のエントリーシリーズも3回目になりました。 まだ未読の方は第1回、第2回も目を通していただけるとうれしいです。 Weblog: ヤメ記者SEの徒然なるままに… racked: 2013-03-13 02:03

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