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zoom RSS [書評] 増補 エロマンガ・スタディーズ 「快楽装置」としての漫画入門

<<   作成日時 : 2014/09/04 23:45   >>

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いよいよ9月に入って季節も秋めいて…来るはずなんですが、今住んでいる熊本はいつまでも夏の気配が抜けず、ここ数日はにわか雨と雷雨に苦しめられています。
いつまで続くのやら、この暑さ。

さて、本日は久々に書評など。
ちょっとキワモノ、といいますか、まぁ、タイトル通り、エロマンガに関する本でして、下ネタ話になりますが、面白く読ませていただいたのでご紹介。

読後の感想を一言で言いますと「とにかくすごい本」という言い方に尽きます。

著者は永山薫さん。(Twitter: https://twitter.com/Kaworu911
Twitterプロフィールに記載されている肩書を見ると、「批評家。編集者。ライター。作家。編プロ代表、ミニコミ誌『マンガ論争』編集人。」というとおり、端的に言えば、漫画家とはまた違ったスタンスでの漫画のプロとしてずっと仕事をされてきた方です。

本書がどんな本か、というのを簡単に述べると、エロマンガ、いわゆる成年向けの漫画について、様々な角度から分析した解説本、ということになります。

成年向け漫画に多少なりとも親しみのある人ならばわかるかと思いますが、エロマンガというのはもうありとあらゆるジャンルを取り込んで、めちゃくちゃ幅広い範囲に広がっています。
この手の作品を読んだことが無い人にもわかるあたりだと、普通の恋愛ものはまぁ当然として、SM、近親相姦なんて序の口。まぁ、たぶん、知らない人は思い付きすらしないようなジャンルまで、本当に幅広く、思いつく限りのことが試行錯誤されている、と言っても過言ではありません。
なので、自身の性嗜好にマッチしたカテゴリの作品を選んで楽しむ、というのが自然な読み方になり、自分が興味のないカテゴリの作品となると、まったく知らない作品・作家さんもごまんとあります。

ところが、本書の中では、著者の永山さんご自身の性嗜好がどのようなものなのかはよく分かりませんが、まぁ、とにかくありったけのジャンルの物をこれでもか、と網羅して紹介され、かつ、それらの作品がどのように受容されているか、が読み解かれています。

私は、元々漫画が好きだし、成年漫画にも特に抵抗はないので、数人好きな作家さんがいたり、一般紙して描かれている漫画家さんの中に、かつては成年コミックを描いていた、という方も実は結構いらしたりして(実は、現役ジャンプ作家さんにも、成年漫画出身の方とか、逆に昔ジャンプで描いていた方が今は成年誌で描いている、なんて方も結構いらっしゃるんですよ)、そういう方の過去の作品なんかを探して読んだりするのは好きだったりするんですが、著者の方の作品を網羅する量は、こんな楽しみ方とは桁が違います。
本当に、ありとあらゆるカテゴリに広がる成年マンガンの、そのほとんどの領域に目を通しているからこそ書ける作品で、それを如実に表しているのが、登場する漫画家名の数。
本書の中には膨大な漫画家さんが紹介されており、その人名索引が巻末に付属しているのですが、その索引だけで優に6ページにわたって、延々漫画家名が紹介されており、その9割がエロ漫画家さんという様相。

著者自身が書いている通り、本書の中では、BL・やおいといった、いわゆる女性向けの作品群についてはあえて一切触れていないのですが、それでも、劇画時代から2000年代前半ごろまでの、マンガ史全体の中でエロマンガがどのような位置を占め、またそれがエロマンガ以外のジャンルとどのように作用し、拡散・深化していったのかという、普段、表に現れる事のないエロマンガの歴史を浮かび上がらせる、稀有な一冊です。

そして、それが、知っている人がわかればいい、というインナーサークル的に閉じているのではなく、あくまで外に向けて開かれて、解説するために書かれた本として成立している、という点がとても素晴らしいと思います。
この辺は、巻末に解説を寄せている思想家・東浩紀さんの解説に詳しく書かれているので、読んでのお楽しみ。

エロマンガには興味ない!という人もいるかと思いますが、春画や神話にさかのぼるまでもなく、性の営みは人間の文化の大切な一端。
今まで一度もこの手の作品は読んだことが無い、という方であれば、世界地図を見ながら一度も行ったことが無い土地へ想いを馳せるのと同じような感覚で、まったく未知の世界を覗き見る、未踏を探索する楽しみを味わえるのではないかと思います。

そしてこの作品、「増補」とある通り、当初2006年に出版された単行本に、加筆・修正されて今年の4月に文庫本の形で再販された本になります。
で、何が追加されたかというと、この数年、特に活発に議論されている、成年漫画に対する表現規制の問題。
実は著者の永山さん自身、さまざまな場面でこの問題について発言されてきた方だけに、ここで述べられるこれまでの経過と問題点には、当事者としての危機感が如実に表れています。
380ページほどの全体の中で、増補部分だけで約40ページと、全体の1割近いページ数を割いている力の入れよう。

個人的にこの増補部分だけでも、書籍代の半分の価値はあったと感じられる内容でした。
エロマンガには興味なくても表現の自由には興味がある、という方は、ぜひ一度読んでみて損はない作品だと思います。

Amazonだと、なか見!検索を使って、目次を含む冒頭30ページほどを読むことが出来ますので、だまされたと思って目次だけでもいいので目を通してみてください。






他にも、この1週間の間に朝日新聞がいろいろやらかしたりとありましたが、そのあたり、思うところはまたいつか。

ではでは〜。

=====================気になる情報
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