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zoom RSS [書評] レイヤー化する世界 (佐々木俊尚)

<<   作成日時 : 2013/10/25 00:53   >>

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たまには一般書籍も読んでいるんだぞ、ということで書評です。



2011年新聞・テレビ消滅 (文春新書)などで知られる、元毎日新聞記者の佐々木俊尚さんの最新刊。

IT業界とメディアの関係ではかなり著名なフリージャーナリストなので、ご存知の方も多いと思います。
これまでの著作としてはキュレーションの時代 「つながり」の情報革命が始まる (ちくま新書)なども有名でしょうか。

内容的には、これまでよりもより幅広く、これからの社会がITによってどう変化していくのか、といった問題をより掘り下げた形の内容になっています。
具体的には、より大きな枠組みとして、中世の歴史から始まり、人間の技術革新が社会をどのように変質させてきたのかというところから紐解き、そしてIT革命(って言い方はもう古いですね)と呼ばれる技術革新によって社会の変質が、これからどのような社会像を見せるのか、といったところを、自身が直接取材して話を聞いた人たちの具体例を引きながら描いています。

実は、前作の「当事者」の時代 (光文社新書)が、個人的にはちょっと残念な結末だっただけに、正直、今回のもどうかな、と思いながら読んだところがあったのですが、今回の物はとても楽しみながら読むことが出来ました。

歴史認識についても自分の思っていた歴史とはまた違った歴史の一面を描いてくれた(特に「帝国」の定義と、モンゴルやローマといった史実の帝国の実像について)部分は興味深く読むことが出来ましたし、現代社会のITに対する洞察もさすが、といったところ。

ただ、個人的にはタイトルにもなっている「レイヤー」という言葉遣いがちょっと腑に落ちないなぁというところがあり。
著者は本書の中で、ITによって世界に「場」が用意され、その上にある「レイヤー」で人々がつながっていく。その緩やかなつながりを持って、「場」を利用し、「場」に利用されながら(ここが、サブタイトルの「テクノロジーとの共犯関係」という所以)新しい関係性を持った社会を作っていくことになる、と描いています。
その時、「場」は限りなく無限に広がる地平のようなもので、人々はそれぞれ固有の趣味や学歴、職業などをよりどころにしたある共通接点である「レイヤー」でつながりを構築していく、と言っています。

でも、一般的に「レイヤー」という言葉は、著者も本書の中で使っていますが、アニメのセル画のように、それ自体が場面全体を覆うように作られた、透明な膜のようなもののことを指す言葉だと思います。
個人的には、何層にも重なった薄い膜を貫く光を当てたときに見えるプリズムのようなもの(本書より)というよりは、各個人の属性がアメーバのように手を伸ばしあって、それぞれ特定の興味・感心ごとを持つことでつながっていく、いわゆる「ネットワークのノード」のようなものをイメージするので、この「レイヤー」という言葉で説明される部分はあまりしっくりきませんでした。

とはいえ、そのあたりは些末なところで、この本は、今のIT技術に明るくない(つまり、「コンピュータなんかわからん」といって理解しようとすることをあきらめてしまっている)世代の方々でも、これまでの歴史を踏まえた社会の動きがわかりやすく描かれている良書だと思いますので、そういう方は手にとってみられては如何でしょうか。
私も父に勧めてみようかな、と思ってます。

では。

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