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zoom RSS [雑記] 新聞の「偏向報道」

<<   作成日時 : 2013/10/17 23:54   >>

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ちょうど前回のエントリーから10日くらいたっていて、そろそろ更新時だったことと、あまりほかのところのコメント欄で長々話すのもどうかと思ったので、久しぶりにまじめな話でブログを更新。

まず見ていただきたいのはこちら。

初日は休刊日だった「新聞週間」。あなたが新聞に期待する役割は?(BLOGOS 2013/10/15)
http://blogos.com/discussion/2013-10-15/Newspaper_Week/


ブロゴスに出ていた記事で新聞について書かれていたもので、このコメント欄にコメントさせていただきました。

で、そこにいくつか返信をいただいたので、その返答もかねてこちらの方で独り言のように私の考えを書かせていただきます。

まず、ほかの方が意見として言われている新聞の問題点として「偏向報道」をあげてらっしゃるんですが、偏向報道ってなんでしょうか?
偏向報道、という言い方があるからにはその対義語として考えられるのは「中立(公正?)報道」などになるのかな、と思います。

私の意見では、そもそも、中立報道も偏向報道も「ありえない」と考えています。
(前提条件として、誤報やねつ造記事、最近の報道機関で見られる取材手法に対する批判などは、偏向報道とはまた違う問題ですので、まったく別の問題として、ここでは考慮していませんのでご承知ください)
報道というのは簡単に言ってしまえば、ある出来事について、一定の人たちがその出来事をどう読み解くべきなのか、と解説を加えて伝える事だと思いますが、その人たちが、対象の出来事についてどう考えているかを伝える事ですから、どのように伝えても必ずその記事を書いた記者の主観が含まれます。
人間が自らの主観を明らかにする以上、それはその人物の立ち位置と、その記事を読む人物の立ち位置によって、物事の見え方は変わってきます。

たとえば、原発問題で小泉元首相が「原発ゼロへ」という発言をしたという出来事があったとします。
これを伝えること自体も報道ではありますが、一般的に言われる報道機関の役目というのは、この発言がその周囲の政治家や経済界へ与える影響がどのようなものがあるのか、この発言が社会的にどのような意味を持つのか、という事をかみ砕いで知らせる事でしょう。
この時、反原発を主張する新聞社(A社)であれば、この発言を歓迎するような論調で紙面を作るでしょうし、原発推進を主張する新聞社(B社)であれば、当然この発言を批判するはずです。
受け手の人々の立場から見たとき、反原発を主張する人が両方の新聞社のニュースに接すると、「B社の報道は偏向している!」ということになるのだと思います。

これは、日本国内において、新聞の報道が「公正で中立なものである」と信じられているからこそ起こる問題だと思います。
つまり必要なのは、「偏向報道をなくさなければいけない」のではなく、「新聞の報道は偏向する物である」という前提でメディアと接するという、国民のメディアリテラシーの向上なのです。

いつだったかネットで「『朝日新聞(読売でも産経でも可)は偏向している』という主張があるが、『赤旗や聖教新聞が偏向している』と主張する人はほとんどない」と書かれた記事を読んだことがあります。
これこそ端的にこの問題を表している文章で、、赤旗や聖教新聞の報道内容はいわゆる左翼的・右翼的な報道でどなたが見てもいわゆる「偏向」しているはずが、それを問題視する人はほとんどいません。
それは初めから「ああいうものだ」というイメージがあり、そう受け止められているため、わざわざその報道に問題がある、と主張する人がいないからです。
これと同じことで、「朝日だから」「読売だから」「日経だから」と、その新聞社によってそうした報道がされるものだ、という前提で受け手が一つの情報として受け取ればよい話であり、そういう理解をすることで「偏向報道」という問題自体は存在しない、というのが私の考えです。

そう考えれば、もう一つブロゴスのコメントで指摘されている「第4の権力である報道機関に対するチェック機能」が無いということですが、ではそのチェック機能はどこがどのような形で有するべきなのか、という事です。
これは、国民のメディアリテラシー向上によって、国民が一つの情報源だけでなく、多様な情報源から複合的な情報を受け取り、ある特定の報道機関が、果たして本当に報道機関としてふさわしい情報発信をしているのかどうか、ということをチェックすることで十分なはずです。
多くの人が信頼のおけない報道機関だと認識するようになれば、その新聞社がいくらネームバリューの大きな新聞社であったとしても、いずれは受け入れられなくなっていくでしょう。

かつて、新聞しかメディアが無かったころは、複数の新聞を読み込み、さらに新聞以外からも情報を集めて複合的に判断する、ということはかなりの労力と困難を伴う作業だったため、一部の優秀な人以外には難しいことだったろうと思います。
でも、今、インターネットがここまで普及し、複数の新聞社のWEBサイトを比較してみながら、SNSなどを使えば、各社の記事に対してその記事を読んだ人たちがどのような反応を示しているのか、ということも比較的容易に把握することが出来ます。
報道機関の記事に接した時、相手が報道機関だからとやみくもに信頼するのではなく、その記事そのものを一度疑ってかかるくらいのリテラシーを受け手が身に付ける事こそが、情報の受け手として、これからの時代に必要な、最低限の心構えなのだと思います。
(もちろん、新聞社が報道機関であり言論機関を自称するのであれば、記事に対してコメントを付けられるようにして、その記事を読んだ人がより容易にみんなの反応を確認できるようにした方がよい、とは思いますが、それは、新聞各社がいかなる批判にも対応していくのだという、ゆるぎない信念と、炎上してしまうような案件に適切に対処できる、インターネットリテラシーを持ってこそ初めて対応可能なことであります。「コメント欄を開設しないとは何事だ!」と批判するようなものではなく、「コメント欄を作って運用するコストと労力を負担できない程度の新聞社なんだな」という認識でその新聞社を見ておけば、それでいい問題ではないでしょうか)


それから、あまり知られていないかもしれませんが、ほとんどの自治体で地元新聞のバックナンバーはかなり長期にわたって保存されていますし、新聞社の記事データベースは多くの図書館でキーワード検索できるように納品されています。
国立国会図書館に行けば恐らく全国の新聞社のデータベースが検索できるのではないでしょうか。
ただし、これを一般に無料開放しろ、というのはまた話は別問題。
これがほかの産業で、たとえば自動車メーカーに「これからの自動車産業の発展の為に必要だから、過去のすべての車種の、全パーツの詳細な設計図を公表せよ」とか食品メーカーに「よりおいしい食品の開発の為に、過去のレシピをすべて公開せよ!」とかいう話にはならないはずです。
新聞社はあくまで民間企業であり、記事はこれまで各新聞社がコストをかけて製造してきた「商品」です。
自社の商品をどう取り扱うかというのは各社がそれぞれ判断すべき事案であり、関係者以外の人間が外野からやいのやいのいうような問題ではありません。


と、まぁ、こんな考え方をしているので、どこかなじむことができず、新聞社を辞めてしまったわけですが。

久しぶりにまじめな長文を書きましたので、この辺で。

では。


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