ヤメ記者SEの徒然なるままに…

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zoom RSS [雑記] メディアの話

<<   作成日時 : 2013/01/23 01:37   >>

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アルジェリアで亡くなられた日揮の社員遺族に対して毎日新聞の記者の方が、実名ですべき、という主旨の話をツイッターでつぶやいた件に関する問題。最初はFacebookでシェアするだけにしようかと思ったんですが、どうしても長く書くことになりそうだったので、こちらで書くことにしました。

毎日新聞記者の方の発言など、一連の動きについてはこちらなどを参照してください。
Togetter - 毎日新聞社会部長を務めた小川一さん(@pinpinkiri)の、アルジェリア事件犠牲者を実名報道するべきだという意見とその反応
http://togetter.com/li/443234

そして、上記一連の流れに対する、元新聞記者の佐々木俊尚さんがFacebook上で発言されていた内容がこちら。
https://www.facebook.com/sasaki.toshinao/posts/10151369150747044

さすが、元新聞記者ながら外に飛び出した人だけ合って、今回の問題を一番的確に捕らえた指摘なのではないかと思いました。

私自身、5年弱ではありますが、新聞記者の仕事をしていた時に、今回のように何かしらの事故でなくなられた方の遺族を取材したことが何度かあります。

当然ながら、嬉々として取材に応じていただけるようなことは絶対になく、こちらが求めるのに応じて、ぽつぽつと語っていただくことが出来れば、上出来といった具合でした。

現場にいて、取材に応じてもらえない遺族を追いかけていて、自分が最も強く感じていたのは、「果たして、本当にこの取材は必要なのだろうか」ということです。

私だけではなく、他社の記者も含めて遺族の家周辺に押しかけ、いわゆるメディアスクラムの状態になっていたことも1度や2度ではありません。
それでも、私の場合は勤務していた新聞社の地元のニュースという事もあり、上司のデスクからは「とにかく他社に抜かれるな」「他社が残っているうちはとにかく離れるな」と、プレッシャーが与えられ続けることも多々ありました。

私の場合は、自分がいろいろと回り道をした経験もあることから、生え抜きの新聞記者とは考え方自体が違うのかもしれませんが、どちらかというと、事故報道に実名報道は不要なのではないか、と考えています。(事件の場合は被害者・加害者の関係もあり判断に迷うところもありますが…)

一方で、佐々木さんが指摘されているように、実名報道が一定の意味を持つことが確かにあるとしても、今回のように「実名であるべきだ」といった主旨の論陣をいくら張っただけでは遺族は絶対に納得しないでしょう。
いくら「公器」を掲げたところで、遺族にとっては、まったく見知らぬ人間が亡くなった人について根掘り葉掘り聞いていくのは、やはりいい気持ちはしないはずです。

新聞社を含め、メディアがどうしても取材をしたいというのであれば、それは故人に敬意を払い、弔意を表したうえで、頭を下げ、平身低頭遺族に依頼して、初めて実現される話であり、上からの目線で「これは公表すべき話、実名で報道すべき話です」などという筋合いは一切ないでしょう。

私の経験を1つ書いておきたいと思います。
ある水難事故が起き、乗組員の家族を取材しようと、実家を訪ねました。
他社の記者もいる中、遺族の方々は(当初はまだご遺体が見つかっておらず、死亡が確定していなかったため)時折出てきては、記者も大変ですね、などと声をかけてくださっていました。
そのうち、ご遺体が見つかって死亡が確定しても、一向に引き上げず、それどころか玄関から少し顔を出すたびに門の所へ駆け寄ってはマイクやICレコーダーを向ける記者たちに、露骨に嫌悪感を示すようになり、とうとう顔を出してくれることすらなくなってしまいました。

当然の対応だろうと思います。

そのうち、その個人が水難時の責任者などではなく、大勢いる乗員の一人だったという事もあって、他社の記者が一人引上げ、また一人と現場から引き揚げていきました。
結局私が最後まで残っており、夜10時近くまで現場にいたかと思います。
自分の立場で考えたとき、こんなに夜遅くまで自宅の玄関に張り込むようなまねをされて、いい気分のはずがありません。
翌日、デスクからは、何度か家へ行ってみろと言われましたが、気乗りがしなかった私は、先日の非礼をわび、弔意を表したうえで、なぜ取材をさせていただきたいのか、という趣旨の手紙と自身の連絡先を書き、玄関ポストに入れて引き揚げました。
もし反応が無かったら、その時はもう取材をすること自体もあきらめるつもりでしたが、翌日、ご遺族の方から連絡をいただくことが出来ました。

電話でしばらくお話をさせていただいた後、結局、先方の要望などがあり、最終的に取材・執筆には至りませんでしたが、こちらとしては、先方を傷つけてしまったことに対する謝罪をし、受け入れていただけたことだけでも、手紙を出して本当に良かったと実感しました。


佐々木さんが指摘している通り、報道の高尚な目的と、メディアスクラムが起きる現実の乖離。
ここに問題が集約されていると思います。
メディアが本当に遺族の人となりを広く知ってもらい、いかにして、そのような人々の命が理不尽に奪われたのかを世の中に広く訴えたいというのであれば、まずはメディア側がその乖離をなくす努力、たとえば、メディアスクラムが起きそうなときには、記者クラブなどが主導して代表取材に切り替えるとか、警察や政府・企業関係機関などを通じて、文書による取材のみにとどめて、絶対に家には押しかけないようにするとか、そういった自浄努力がなされない限り、マスゴミなどと揶揄され、メディアが市民に嫌われる現状を変える事は出来ないでしょう。

以上、久しぶりの2日連続のブログ更新ですが、どうしても書き留めておきたい内容だったので…

===============================気になる情報
24日はぜん息に要注意! 北京並みの大気汚染、再び西日本へ
http://www.tax-hoken.com/news_auAUsPpqZe.html

グーグル会長娘が訪問で見た 北朝鮮の実態
http://www.cnn.co.jp/tech/35027143.html

『AKIRA』の大友克洋監督が江戸の火事を描いた最新短編アニメーション『火要鎮』がスゴイ!!
http://commonpost.info/?p=59304

主な電子書籍ストアの蔵書数(2012.12.22-23調べ)
http://www7b.biglobe.ne.jp/~yama88/pla_6.html



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